221_【記事紹介】_無形資産の重要性が高まる現代においては、株式投資の難易度は高まっている

2020年11月17日火曜日

80_The Economist

t f B! P L

おはようございます。ら~くです。


昨日のマーケットは、
日経平均 約2.1%の上昇
TOPIX 約1.7%の上昇
東証REIT 約0.6%の下落でした。

株式のマーケットは、今年の最高値を更新中です。
新型コロナの感染の再拡大の傾向が明らかになっている中、不思議な気もしますが、世の中が慣れてきた、ということなのかもしれません。

閑話休題、本日は、11/14発行のThe Economistで面白い記事を見つけたので、ご紹介させていただきます。
テーマは、無形資産の重要性です。



無形資産の重要性

最近は日経新聞などでも下記のような論説を見かけます。
  • 近年は無形資産の重要性が高まっているため、PBRが低いからと言って、投資妙味があるというわけではない
上記論説についての私の考えを本日の記事では説明したいと思います。


無形資産とは

無形資産、というと、会計用語のようで(実際、会計用語でもある)理解しにくいです。
英語の方が、直感的にはわかりやすいと思います。
  • intangible assets
が訳語です。

intangibleは、「目に見えない」「触るこのとできない」という意味です。
無形資産の反対語は、有形資産でtangible assetsです。

記事では、下記の例が紹介されています:
  • tangible assets: factories, office buildings, machinery
  • intangible assets: ideas, brands, general know-how

前者は鉄鋼業界や自動車業界など重厚長大産業において重視された項目であり、後者は、GAFAMなどのテック系企業で重視されていることが分かりますね。
後者の具体例としては、appleのデザイン力やgoogleの検索のアルゴリズムなどが挙げられます。

現代は、デジタル化が進展していますから、ますます無形資産の重要性が高まっている、ということです。

無形資産とバランスシートの関係性

さて、ここで読者の皆様に質問ですが、無形資産はバランスシートにはどのように表れると思いますか。

ご存じの方も多いと思いますが、無形資産はバランスシート上、資産としては計上されません。(というよりも、バランスシートには全く表れません)
ここが、有形資産との大きな違いです。

要は、自社で内製化されているノウハウやデザイン力・ブランド力はバランスシートには出てこないのです。なぜなら、客観的に評価できる数値が無いからです。


唯一、無形資産が、数字となって表れてくるのは、その当該企業が第三者の企業に買収された時です(のれん代)。
第三者の企業に買収された時、第三者の企業による値付けが判明しますから、その差分をのれん代として初めて計上されますが、GAFAMは買収することはあっても、買収されることは少なくとも今後数年は無いのではないでしょうか。

ですから、appleのデザイン力やブランド力、Googleの検索のアルゴリズムの競争優位性については、バランスシート上では客観的に価値をつけることができないのです。

したがって、「トヨタのPBRは1.1倍、アップルのPBRは27倍。よって、アップルの株価は割高だ」とは言えないわけです。
アップルの競争優位の源泉が、バランスシートには表れてこないからですね。
投資家としては、アップルのPBRなどを評価するときには、無形資産の価値も考慮して、他の株式と比較考量する必要があるのです。


無形資産をどのように評価するか

無形資産の評価に当たっては、画一的な評価方法があるわけではありません。

よく見かけるのは、研究開発費用の割合などで、

「研究開発費用が大きい場合は、何らかの無形資産への投資が蓄積されていると考えられる」

みたいな薄弱な根拠で語られますが、正直、当該企業の競争優位性に何ら貢献しない研究開発はいくらでもあるわけで、そのような道楽の研究開発費用が高い企業は、株主に恩恵をもたらしてくれるわけではありません。(というか、株主に対してむしろ悪影響を与えるでしょう)

結局は、無形資産の評価については、投資家個人がリスクを取って判断するしかないわけです。

逆説的にインデックス投資の優位性

バフェット氏に代表されるバリュー投資は、PBRなどの昔ながらのファンダメンタルズを参考に、購入する株式を意思決定する投資方法ですが、記事では「テック企業が隆盛を迎える現代においては、状況が変わった」というような論調です。

このような「時代は変わった」という主張については、一時的な出来事なのか、それとも本当に長期的な傾向なのかをしっかりと見極める必要がありますが、私としては、少なくともテック企業においては無形資産の重要性がますます高まっているという状況については、認めざるを得ないと思います。

また、自動車やタイヤなどの旧来型の産業であっても、トヨタはCASE対応を急いだり、ブリヂストンも「ビッグデータの活用を目指します」と宣言したり、と確実に、テック企業の要素が入り込んできています。

この流れに鑑みるに、今後、ますます無形資産の重要性は高まっていくでしょうし、投資家の観点に立つと、企業価値の評価により頭を悩ますことになるでしょう。

巡り巡って、やはりインデックス投資は無難な投資法であるなあ、ということを感じます。
いくら財務諸表を読み込んでも、個別企業の企業価値の評価は、わかるものではなくなってきているのですからです。

バフェット語録の一つに
  • 分散投資は無知に対するヘッジだ
がありますが、デジタル化が進み無形資産の価値がますます高まる現代においては、「自分は無知である」ことを自覚し、分散投資をすることも悪くないのではないでしょうか。

たぶんつづく

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自己紹介

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東京都, Japan
1980年代前半生まれのアラフォー。
既婚。共働き。子どもなし。
東京の東側らへんに在住。
しがない会社員をやっています。
出身地域は、関西北部の田舎。就職のため、2006年に上京。いまだに、満員電車には慣れません。

2015年11月から株式投資を開始。基本はインデックス投資[ETFもしくは投資信託]、気が向いたら、日本株の個別株投資というおおざっぱな投資が資産運用スタイル。

配当金・分配金実績[税引き後]
2016年 55,719円
2017年 59,003円
2018年 73,096円
2019年 100,241円
2020年 253,455円
2021年 332,191円
2022年 506,575円
2023年 625,566円

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