【書評】_橘玲「人生は攻略できる」_幸福の土台論における8類型

2021年1月12日火曜日

90_書評

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おはようございます。ら~くです。


本日は、橘玲氏の著書「人生は攻略できる」についての書評を綴ろうと思います。








橘玲氏の作風の変遷

本書は、2019年3月にポプラ社から発行された書籍です。
橘玲氏は、多作の作家ですから、氏の書籍に目を通された方も多いかと思います。

氏の過去(20年くらい前)の書籍では、なかなかにアバンギャルドな主張をされていたように思うのですが、過去10年くらいの書籍では、割と一般人にも適用しやすい投資についての助言が増えたように感じます。

まあ、なんというか、オーソドックスでかつ無難な助言です。
今回の書籍も、ぶっとんだ主張が書かれているわけでも無く、割と当たり前のことが書かれています。

10年くらい前に氏に心境の変化があったのかはわかりませんが、資産運用について学びたい方にとっては、氏の最近の書籍を何冊か読んでみることは個人的にはお薦めだと思います。

有名作家ですから、図書館でも借りることは容易でしょうし。

幸福の土台論

この書籍自体は、若者向けに書かれていますが、私のようなアラフォー会社員にとっても有益でした。
今回は、特に幸福の土台論についての氏の掘り下げが面白かったので、そこについて重点的に記します。

氏の主張する幸福の土台論とは下記のようなものです:
  • 幸福の土台として3つの資本がある。
  1. 人的資本=仕事
  2. 金融資本=お金
  3. 社会資本=愛情・友情
  • 上記3つのいずれもない状態は不幸である。
  • 幸福の資本が一つあればそれなりに充実した生活を送ることができるが、その人生はかなり不安定。
  • だからまず、資本を一つ持っているなら、それを大事にしつつ、もう一つ資本を持てるように努力すべき。

なかなかに説得力のある主張だと思いました。

人的資本と金融資本については、山崎元氏の著作でもよく触れられているように、他の資産運用関係の書籍でも目にすることがありますが、それに加えて「社会資本」まで加えていることが、幸福の土台論の面白いところです。

定量化は難しいですが、「幸福」については、社会資本(要は家族や友人)の充実度による影響がかなり大きいですから、幸福について語るのであれば、無視することは不適切でしょう。

昨年、「家族は固定費」ツイートが炎上しましたが、むべなるかな、と思います。

幸福の土台の8類型

氏はさらに考察を深め、なんと8類型まで分類し、説明しております。
  1. 貧困          =資本なし
  2. プア充         =社会資本有
  3. ソロ充(上京した若者)  =人的資本有
  4. ソロ充(孤独な年金生活者)=金融資本有
  5. リア充         =人的資本有、社会資本有
  6. ソロリッチ       =金融資本有、人的資本有
  7. 専業主婦(夫)     =金融資本有、社会資本有
  8. 超充          =金融資本有、人的資本有、社会資本有
スライドを作ってみたので、ご参考までに貼り付けます:
















所感

橘玲氏の幸福の土台論について私が感じた感想は以下です。
  • 幸福について語る上では、社会資本は無視できないため、含めることには賛成。
  • 金融資本/人的資本/社会資本は、「有無」で判断できるものではなく「厚みが十分にあるか否か」で判断するべきものであるため、8類型は単純化しすぎ
  • 8類型は単純化しすぎではあるが、当事者が現状を把握し、今後どの資本の厚みを増やしていくべきかという気づきを与える観点においては、良い契機となりうる。
  • 「資本が1つでもあれば、それなりに幸福に過ごせる」ということは今まで意識したことは無かったが、確かに著者の言う通りだと感じた。と、同時に「資本が1つだけだとその幸福はかなり不安定」という著者の主張にも同意。
  • 「2つ以上の資本を持つように努力すべき」という助言は金言。

当たり前なのですが、3つの資本の内、金融資本だけは明確に数値で表示されます。

一方、人的資本は便宜上はその当事者の「<手取り年収×定年までの年数> の割引現在価値」になるのでしょうけど、外資系金融機関のように頻繁に解雇されるような企業なのか、公務員のように解雇される蓋然性が低い組織なのかによって、割引率は大きく影響受けますし、客観的な割引率は存在しません。

社会資本になると、そもそもどのように評価すべきかも決まっていません。
表面上、「結婚して子供がいる」という状態であっても、夫婦仲が不仲で離婚寸前の場合であれば社会資本が充実しているとは言えないでしょうし、逆に独身の40歳の女性であっても、友人が多く、休日は友人と時間を過ごすことが多い方であれば社会資本は充実している、とも言えると思います。

人間の傾向として、ついつい数値で表示されるものであれば他人と比較容易ですので、金融資本の額に目がいきがちですが、星の王子さまではないですが、
  • 「たいせつなことはね、目に見えないんだよ・・・・」
ということを意識し、金融資本だけではなく、人的資本や社会資本の厚みを増すために努力することが大切だと改めて思いました。

今後の生活に活かすこと

私は幸いなことに、金融資本は順調に厚みを増すことができてきています。

今後もリスク資産への入金を通じて金融資本の厚みを増そうとは考えていますが、それだけにとらわれずに、特に社会資本の厚みを増すための行動を大切にしようと思いました。

具体的には、下記のようなことですかね:
  • 日々のちょっとした出来事であっても、妻に感謝の言葉を伝える。
  • 父や母、兄夫婦とも定期的に連絡を取る。
  • 大学時代の友人たちとも、機会を作ってコミュニケーションする。



たぶんつづく


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東京都, Japan
1980年代前半生まれのアラフォー。
既婚。共働き。子どもなし。
東京の東側らへんに在住。
しがない会社員をやっています。
出身地域は、関西北部の田舎。就職のため、2006年に上京。いまだに、満員電車には慣れません。

2015年11月から株式投資を開始。基本はインデックス投資[ETFもしくは投資信託]、気が向いたら、日本株の個別株投資というおおざっぱな投資が資産運用スタイル。

配当金・分配金実績[税引き後]
2016年 55,719円
2017年 59,003円
2018年 73,096円
2019年 100,241円
2020年 253,455円
2021年 332,191円
2022年 506,575円
2023年 625,566円

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